2021年3月15日、ドイツのバーデンヴュルテンベルク連携州立大学(以下、DHBW)の自動化ストア-shop.boxが正式にオープンしました。
本ストアは、シュワルツグループがデジタルリテールを中心に推進している新プロジェクトです。ドイツを代表するリテールブランドとして、シュワルツグループは、2020年のデロイトリテール250で第4位にランクインしています。今回、CloudpickのAIデジタルリテールソリューションを導入し、共同でコンテナ式自動化ストアを立ち上げました。また、スマートリテール分野での革新的なテクノロジー、成熟した製品、認知度活用して、デジタルリテールの模索と展開を加速し、レジレス化により、オフラインリテールのコスト削減と効率化と同時に、365日24時間、カスタマにスムーズな最新ショッピング体験を提供します。
ドイツのEHIリテールインスティテュートもまた、最新の「2021年小売業界テクノロジートレンド」において、多くのオフライン小売店がデジタルトランザクションを経営戦略テーマの一つに設定し、さらに経営者の29%が、自動化が業界発展の大きなトレンドであると捉えています。
では、なぜドイツでは自動化の概念がこのように普及しているのでしょうか。
まず、ヨーロッパ諸国の中で、ドイツの店舗の営業時間が最も厳しく制限されていることが挙げられます。宗教の影響や労働者の権利に配慮し、多くの店舗が月曜日から土曜日の午前7時から午後8時までしか営業しておらず、日曜日・祝日は休みとなり、ガソリンスタンドや駅、空港の近くの店舗でしか買い物をすることができません。また、新型コロナウイルスの流行が続いたことで、オフラインの消費も再び「ダウングレード」を余儀なくされています。スーパーマーケットなどは営業を再開しているものの、買い物客の流れを制限するため、買い物時間や滞在時間を事前に電話予約する必要があります。また、ウイルス感染の可能性を減らすために、買い物中は必ずショッピングカートを押してソーシャルディスタンスを保つ必要があります。
各種規制により、シュワルツグループ、Edeka、Tegut、WÜRTH、TYPYなどの業界大手や新興企業といったドイツの小売ブランドは、自動化ストアの模索と導入を加速させています。
DHBWのスティーブン・ラシェン教授は、現在市場で展開されている自動化ストアは大きく2つに分類される、と述べています。1つ目は比較的シンプルなモデルで、主に買い物客が自ら商品をスキャンして購入するというカスタマのルール遵守性で成り立つ仕組みです。もう1つはより高度な仕組みで、AIシステムにより自動的に購入状況を識別し、顧客は「テイク&ゴー」ができると同時に、「365日24時間」いつでも買い物できるという需要に応えることができます。
そして、shop.boxに代表される自動決済は、間違いなく後者です。
自動決済
買い物の簡略化から、感染症流行対策まで
shop.boxは、DHBWの学生・教職員であれば誰でも利用することができます。初めてストアに入る前に、キャンパスIDカードでアプリ登録を完了させ、支払い方法を追加します。ストアに入る前にアプリを開いてQRコードを提示すれば、買い物を楽しむことができます。
買い物中、CloudpickのAIシステムが商品を取るもしくは戻す行動や商品情報をリアルタイムで把握し、手に取った商品を自動的に仮想ショッピングカートに入れ、商品を戻した場合はすぐに削除されます。
支払いのために列に並んで待つ従来のストアとは異なり、この新しい小売ソリューションは、買い物客が消費行為を発生させた時点で自動的に買い物額を計算し、ストアを出た後、直接口座から買い物額を引き落とし、数秒以内にアプリで購入明細を受け取ることができます。また、各国の利用習慣に対応するため、メールでの領収書送付もサポートしています。
このような列に並ばない無人レジの仕組みにより、shop.boxは24時間365日のオペレーションと「100%非接触」のショッピングで、安心感の向上を実現しています。マスクを着用しても、AIカメラが消費行動を正確に把握し、感染症流行前と変わらないショッピング体験ができます。
1店舗多機能
キャンパスでの実践から、教員や学生へのサービスまで
大規模調査の結果、DHBWの学生たちは、キャンパスシーンでのニーズに基づいてshop.boxの250種類の商品を選択しました。日常的に購入頻度の高いスナックやフルーツ、ドリンクだけでなく、リフレッシュできるエナジー食品も棚に並べられ、附近の図書館で読書・勉強している学生や教職員が、いつでも入店してエネルギーを補給し、リフレッシュすることができます。
スティーブン・ラシェン教授は、shop.boxがキャンパスに登場することで、キャンパスプロジェクトの研究開発、革新、実施をサポートする実用的プラットフォームとしての役割だけでなく、非常に革新的で未来感あふれるリテールテクノロジーで学生や教職員にさらなる利便性をもたらすことができ、様々なメリットがあると述べました。
コンテナ式ソリューション
迅速な展開から、広範囲にわたる導入まで
今回オープンしたshop.boxは、コンテナ式自動化ストアで、輸送や現地展開などの局面においてフレキシブル性が高く、キャンパスシーンのあらゆる「場所」に簡単に設置することができます。
AIシステムの提供に加えて、CloudpickはAIスマート無人ストア、デジタルシェルフ、AI自販機、マジックボックスMoby Martを含む製品ラインアップを徐々に形成しています。マジックボックスMoby Martは、柔軟な対応を求める市場ニーズを洞察して誕生したコンテナ式ソリューションで、コンテナごとの発送、プラグアンドプレイのスマートストアを創出することで、自動化がより多くのシーンと国々に迅速に浸透し、小売業界を急速にアップグレードすることが期待されます。
同時に、コンテナの外観もフレキシブルにデザインすることができます。流動的なデザインの金属製ファザードを採用することで、shop.boxは、ハイテクストアのイメージを表現し、キャンパスの近代的な建築物と一体となるだけでなく、DHBWの革新的精神にもマッチしています。
現段階において、ドイツではまだ自動化ストアは多く見られないものの、先駆者たちの試みとリーダーシップにより、急速に成長します。将来的には、運営効率、ショッピング体験などの強みを生かして、自動化ストア、さらにはコンテナ式自動化ソリューションが、日本、韓国、シンガポールなどの国々でも展開され、人手不足、感染症影響、ECの脅威など、日々高まる業界の課題への有効な対処法としてさらに発展するでしょう。